臨床メモ
簡易な血清カルシウムの測定
飯田 喜俊
1
1大阪市大内科
pp.477
発行日 1968年4月10日
Published Date 1968/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202172
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血清カルシウムの測定はナトリウム,カリウムに比べてそれほどひんぱんに行なわれるものではないが,それでもしばしば必要となつてくる。たとえば内科疾患において,低Ca血症を示すものとしては腎不全,ネフローゼ,副甲状腺機能低下症,骨軟化症,脂肪性下痢症,膵臓炎,高Ca血症を示すものでは副甲状腺機能亢進症,サルコイドーシス,多発性骨髄腫などがあつて,診断の確定ないし治療にたいせつなものである。しかし,これまではその測定法が比較的めんどうなため,どちらかというとないがしろにされてきた。EDTAを用いて行なう簡易測定法もいわれてきたが,そのさい用いる指示薬があまり鋭敏でなく,正確に測定できないため,簡易測定法として十分といえるものではなかつた。
ところが,近年登場したHydroxy NaphtholBlueを用いて行なう方法は簡易性はもちろんのこと,正確性においても非常にすぐれている。現在まで,主として工業分析用に用いられてきたが,特別の器具を必要とせず,わずか2〜3分でだれでも測定できるものである。私もこれを用いて多数の血清,尿中のCaを測定し,従来の方法とその測定値を比べたり,いろいろ測定にさいしての妨害因子の有無について検討したが,正確性においても従来の方法と比べまつたく遜色なく,簡易という点でははるかにすぐれていると結論することができた。
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