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きのう・きょう・あした
砂原 茂一
1
1国療東京病院
pp.1753
発行日 1967年12月10日
Published Date 1967/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202030
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某月某日
Minneapolis空港に向かうリムジンに乗ろうとしてホテルの玄関に出ると街を走る自動車の屋根がうつすらと白い。さてはと空をあおぐと白いものがヒラヒラというよりももう少し激しく舞いおりている。10月の終わりというのに雪だ。昨夜Minnesota大学の外科の教授でV. A.(Veterans Administration)病院の心臓外科部長をしているDr. Sakoの家に招かれ帰る途中自動車のなかで,初雪はいつごろですかと聞いたら11月の終わりだといつていたから今年の冬はひと月早い勘定になる。
僕は心臓外科とは縁はないがこの二世の外科医は私が本来たずねてきたはずのDr. Jenneの友人でその隣家に住んでいるという因縁である。元来私は気が多いので海外旅行の目標がいくつにも分散する。1)は結核や胸部疾患である。2)は臨床薬理学である。3)は人類遺伝学である。4)はリハビリテーション医学である。New Yorkでの会議の帰りわざわざこの北の町に立寄ろうと考えたのはここのV. A. 病院にINH研究に最近活躍しているJenneがいるからである。ほかのINH代謝の研究家にはたいてい会つているからこのさい会いたいと考えた。つまり,3)である。
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