特集 病歴
診断と病歴
誤診誤療とその原因
佐々 貫之
1
1関東逓信病院
pp.1709-1712
発行日 1967年12月10日
Published Date 1967/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202014
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はじめに
医師の行なう診療行為は,人の健康を対象としてまず検診し,その結果から診断をくだし,これに応ずる治療をほどこすにあるといえよう。そして,問診から検診所見とともに,経過を追つて実施した診療やそれに関連する事項にいたるまで,少なくとも診療上必要なことは落度なく病歴中に収録されるはずである。このようなことはいまさらあらためていうにおよぶまいが,実際に即して各医皆がはたしてつねにそのとおりに実行しているか,ないしは実行しうるのであろうか,そう問いつめられれば,各自それぞれ思いあたるふしが少なくないであろう。
いつたい,診断と病歴,それから両者の関係については,臨床上種々な意味において問題となることが多い。筆者も現在にいたるまでの長い臨床生活において,自己経験から,この点についていろいろ考えさせられ,また反省させられてきている。よつて,課せられた本題目のもとに,まず「診断とはどういうことか」とともに「病歴はどうあるべきか」という根本にさかのぼつて考えておき,ついでその相関から起こりうる種々な問題,特に「誤診療とその原因」について述べてみる。
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