特集 病歴
診断と病歴
病歴のとりかた
高橋 忠雄
1
1慈大内科
pp.1714-1716
発行日 1967年12月10日
Published Date 1967/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202015
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病歴の重要性
病歴(プロトコル)は文字どおり,症例についてのすべての記録の記載であつて,臨床家にとつては,これほど貴重なものはないはずである。しかし,実際には,私たちがほんとうに満足のいくような立派な病歴というものが,むしろ少ないのはどういうわけであろうか。このことは,特に大学病院のような研究と診療を兼ねたところでめだつ現象のようである。研究用のノートは整然と記され,発表する論文は推敲をかさねて浄書する人と同一人が記載したはずのプロトコルがあまりにも雑然としていることに驚くことが多い。
病歴を構成するのは主として問診により得られた患者の既往症と現症の初診時までの経過,初診時の現症,その後の経過および諸検査所見,さらに症例によつては手術所見または剖検所見などがこれに加えられる。これらのすべてが完壁であることが要求されるのはいうまでもないが,特にここで問題にしたいのは,問診の重要性ということである。
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