産婦人科こぼれ話
誤診
中山 安
1
1東横病院
pp.30-32
発行日 1958年8月1日
Published Date 1958/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201519
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われわれ医師や助産婦の診断に誤りが無いならば,むろん治療の上にもいいのであるが,それがなかなかそうはいかないので絶えず繰り返すのであるから哀れなものだ.いかに勉強してみたところで人間の体を見透すということは難しいもので,生涯医者をやつていると,さぞ上手だろうとひと目にはみえるかもしれないがいつになつても,それが出来ないのだから困つたものだと愧じるわけである.同時に神ならぬ身の哀れさを感じ,また致し方ないと自らあきらめもするが,ともかく情ないはなしだ.
どうかすると他の医師や助産婦の見違いを非難する同業者もあるようだが,それはまあいつの世にも尽きぬ一種の臍まがりだろう.
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