コラム
多発性骨髄腫
浅井 さとみ
1
1東海大学医学部臨床検査医学
pp.904
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906310
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病態と意義
多発性骨髄腫での染色体異常は約70%にみられ,トリソミー(3,5,9,15)やモノソミー(13,16)など染色体数の異常,転座・逆位・重複・欠失など構造異常以外に,遺伝子増幅の場であるHSR(homogene ous staining region)やDMS(double minute chromo some)の異常もある.主な構造異常として14q32転座や1q異常がある.14q32には免疫グロブリンIgH(Immunogloblin heavy chain)遺伝子が存在し,t(11;14)(q13;q32)では,11q13に細胞周期を制御する増殖関連因子cyclin D1をコードするBCL1/PRAD1遺伝子,t(14;18)(q32;q21)では18q21に存在するBCL2遺伝子,t(8;14)(q24;q32)では,8q24に存在するMYC遺伝子とそれぞれキメラ遺伝子を形成する.癌抑制遺伝子であるRB-1(retinoblastoma:RB)が存在する13q14の欠失(図)が約40%にみられ,予後不良である.Hypodiploidy(低二倍体)は,ベンスジョーンズ蛋白質(Bence Jones protein;BJP)型に主にみられ治療抵抗性の症例が多い.
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