話題
γ-グロブリンの新しい命名法—第2回日本臨床代謝学会を聞いて
橋本 信也
1
1慈恵医大・阿部内科
pp.772-773
発行日 1965年5月10日
Published Date 1965/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200839
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γ-グロブリンという名称は,1937年Tiseliusが電気泳動装置によつて血清蛋白質を5つの分画に分けることに成功したとき,易動度mobilityのもつとも遅い血清中のグロブリン分画に対し命名したものである。このものは長い間,単一の化学物質と考えられていたが,その後超遠心法や,免疫電気泳動法の導入によつて,γ-グロブリンにはいくつかの種類があり,機能もそれぞれ異なることが判つて,その不均一性heterogeneityという問題が論ぜられるようになつた。さらに近年になると,γ-グロブリンをパパインやメルカプトエタノールで分解するというような構造に関する研究が進んできて,その命名に統一性がなくなり,大きな混乱を生むに至つたのである。
1964年WHOでγ-グロブリンの命名を統一しようという試みが行なわれた。ときあたかも1965年3月7,8日第2回日本臨床代謝学会が,山村雄一教授の会長のもとに大阪で開催され,その中でガンマー・グロブリン異常症と題するシンポジウムがもたれたのである。そのシンポジウムの冒頭,京大ウィルス研の右田俊介博士はImmunoglobulinと題する講演の中で,γ-グロブリンの新命名法について解説され,聴衆に多大の感銘を与えた。
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