Japanese
English
論述
アイソトープを用いる抗原抗体及びγ-グロブリンの代謝に関する研究
Isotopic Studies on the metabolism of antigen, antibody and γ-globulin
緒方 規矩雄
1
,
緒方 正名
2
Kikuo Ogata
1
,
Masana Ogata
2
1新潟大学医学部生化学教室
2岡山大学医学部公衆衞生学教室
1Department of Biochemistry, Niigata University School of Medicine
2Department of Public Health, Okayama University School of Medicine
pp.122-132
発行日 1957年6月15日
Published Date 1957/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905947
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抗体の代謝の研究は殊に抗体生成の問題と関聯して免疫学上でも最も重要な研究分野であると考えられる。一方抗体とγ-グロブリン(以下γ-Gと略)とはTiselius1)が電気泳動法を用いて易動度が等しいことを指摘して以来,その分子量2),アミノ酸組成3),末端基4),抗原性5)等が多くの場合にほぼ一致することが認められるに至つており,この点からも抗体代謝はγ-G代謝と切り離しては考えられない。又γ-G代謝の研究は正常血球蛋白質代謝の研究の一環としても重要であることはここに指摘するまでもないであろう。更にこれ等の単一蛋白質の動物組織における生成機作の研究は生化学的な代謝の面からも動物組織における蛋白合成の問題を理解するために重要な手懸をあたえると考えられる。そして此等の研究に於てもアイソトープの利用が重要な武器を提供することは一般の蛋白代謝の場合と同様であろう。
アイソトープを用いる抗体の代謝の研究についてはSchoenheimer等6)が1942年N15で標識したアミノ酸(以下N15-アミノ酸と略)を用いてin vivoで輝しい成果を上げて以来,生化学者や免疫学者により取上げられているが,その手技の複雑さや条件の複雑性等のために他の組織蛋白のそれに比較すればその研究も少く,まだ未開な分野が多く,将来更に免疫学,生化学の両面からの研究に待つ所が多いと考えられる。
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