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医療が,患者さんとのコミュニケーションを基本として成立している点は,今更言うまでもありません.医療面接の目的のなかでも,医療情報の収集,ラポールの形成,教育の3本の柱の一つに数えられています.一方では,医療が高度に組織化された活動であることも忘れてはならない事実です.病院には,患者さんに直接接する診療部門のほかに,中央診療部門があります.診断関係では,検査部門,診療放射線部門,病理部門,治療関係では,リハビリテーション部門,輸血部門などです.これらの部門の特徴は,各科臨床診療部門の指示を受けて,その活動が開始されることです.専任の医師が配置されている場合もありますし,技師などのコメディカルスタッフだけで運営されている場合もあります.また,病院内で行うのではなく,病院外の専門の業者に委託されているものもあります.
一般的には,指示伝票という文書が発行され各部署に届くことで業務が発生します.中央診療部門では,この指示伝票の情報を読みとり適切な対応をとることを要求されています.検査部門では,検体と同時に届いた依頼伝票に沿って作業が進められます.放射線部門では,伝票を受けて検査の準備をして患者さんが撮影に訪れます.医師が配置されている場合には,それぞれに読影という作業が行われ,診断が臨床各科に提供されます.すなわち,骨髄所見と診断,免疫電気泳動所見と診断,遺伝子所見と診断,病理所見と診断,細胞所見と診断,放射線画像所見と診断などが臨床各科に提供されるのです.読影担当の医師は,直接患者を診察することなく,臨床側から提供された情報のみで診断までコメントするわけです.それぞれの工程のなかで「所見をとる」ことはそれほど困難ではありません.しかし,診断名とかかわるコメントを出すには,臨床情報が必須です.読影担当医の能力を最大限に発揮させるのは詳細な臨床情報です.決して占いのように「画像を見ればぴたりと当たる」世界ではないことを理解しておいてください.院内で相談できる体制がある場合は,ぜひカルテを持って診断医のオフィスを訪ねてください.報告用紙に記載されないさまざまな役立つコメントがもらえると思います.正しい診断をするためには医療スタッフ間のコミュニケーションは必要不可欠です.
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