column
回診にもインフォームド・コンセント
市村 公一
1
1メディカル・プリンシプル
pp.403
発行日 2003年11月30日
Published Date 2003/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107429
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現在勤めている会社の同僚が,ある大学附属病院に入院し,退院後の朝礼でこんな感想を語ってくれた.
「教授回診といって,普段診てくれる主治医以外に教授から研修医みたいな若い先生までたくさんの医師がやって来て,みんなで代わる代わる私の胸を聴診してフムフムと頷いていた.何だかまるでモルモットにでもされたようで,とても不愉快だった.」
医療サイドにとっては,教授や部長などの診療責任者が主治医の治療方針を確認したり患者の状態をチェックする患者管理上重要な場であると同時に,研修医や学生に対する教育の場でもある回診.それは患者にとっても第三者の眼で自分の状態や自分に対する治療内容をチェックしてもらえる,言うなれば居ながらにしてセカンド・オピニオンを得られる,貴重な,ありがたい場であるはずだ.しかし,回診の意図や特に自分にとってのメリットがわからないために,「見せ物にされた」という被害者意識だけが残っているケースも少なくないのだろう.ある診療科で患者に回診の是非をアンケート調査したところ,「やめて欲しい」という声が過半数を占め,回診をとりやめたという市民病院の話も聞いている.
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