連載 医療安全のこれから・6
医療コミュニケーションと法
大磯 義一郎
1
1浜松医科大学医学部「医療法学」
pp.60-63
発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102697
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■契約説的医師患者関係観
診療契約説
医師患者関係を法的にどのように捉えるべきかということは非常に難しい課題であり,世界中で検討がなされている.現時点におけるわが国の多数説では,医師患者関係は,法的には診療契約という契約関係であるとされている.また,診療契約の法的性質としては,準委任契約(民法656条)であるとされており,診療という事実行為を委託する契約であると説明されている.このように考えられているのは,準委任契約であるとすると,より高い注意義務である善管注意義務(民法644条)を導くことができるからと言われている1).すなわち,「医療においては,確かに疾病の治癒を約束することは不可能であるが,民法644条にかかれている通り,医師には高度な注意義務が課せられている」と説明するために準委任契約とされているのである.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.