特集 内科診療にガイドラインを生かす
総論
診療ガイドラインの正しい理解
中山 健夫
1
1京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野
pp.8-11
発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107069
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EBMと診療ガイドライン
EBMとは?
1991年に誕生した根拠に基づく医療(evidence-based medicine:EBM)は,質の高い医療を求める社会的な意識の高まりとともに,さまざまな分野で普及した.EBMは「臨床家の勘や経験ではなく科学的根拠(エビデンス)を重視して行う医療」といわれる場合があるが,本来のEBMは,臨床研究によるエビデンス,医療者の専門性・経験,患者の価値観,そして患者の臨床的状況・環境の4要素を統合し,よりよい患者ケアに向けた意思決定を行うものである1).エビデンスを提供する研究として,人間集団を対象とする疫学研究(臨床試験を含む)が重視される.その本来の意味は必ずしも理解されておらず,「エビデンス=EBM」という混同が現在でも散見される.大規模な臨床試験の知見によって「EBM」が確立し,すべての臨床現場の判断が自動的に決まるわけではない.EBMのパイオニアであるHaynesらが述べる“Evidence does not make decisions, people do”という言葉は,日本におけるEBMのあり方を再考するうえで傾聴に値する.
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