REVIEW & PREVIEW
Crohn病に対する生物学的製剤治療の進歩
鈴木 康夫
1
1東邦大学医療センター佐倉病院内科
pp.1294-1297
発行日 2013年7月10日
Published Date 2013/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106910
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最近の動向
遺伝子工学技術を応用した生物学的製剤が次々と生み出され,各種疾患に対する治療薬として臨床応用されつつある.マウス抗ヒトTNF-α特異抗体の作製とその臨床応用への成功以来,各種サイトカイン・ケモカイン特異抗体,白血球接着分子特異抗体など次々と生物学的製剤が作製され,臨床応用が進行中である.それら生物学的製剤のなかで,Crohn病(Crohn's disease:CD)治療において画期的効果を実証しているのが,抗ヒトTNF-α抗体製剤である.
従来のCD治療戦略では,軽症例に対しては栄養療法とメサラジン製剤投与を基本とし,それら治療で改善を認めない場合はステロイド剤投与や免疫調節薬(immunomodulater:IM)の追加投与,さらに病勢がきわめて高度な場合は腸管の絶対的安静を目的とした静脈栄養管理による入院加療が実施されてきた.しかし現在では,抗TNF-α抗体製剤投与を積極的に投与継続する新たな治療戦略が注目されている.従来の治療法では,腸管安静と大量ステロイド剤投与によって臨床的寛解の導入は可能になるが,食事の再開やステロイド剤投与の減量・中止後,容易に再燃を繰り返し,その後に狭窄・瘻孔という不可逆的腸管合併を生じ外科治療を余儀なくさせられる症例が稀でなかった.
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