特集 腸内細菌を学ぶ
Crohn病
馬場 重樹
1
Shigeki Bamba
1
1滋賀医科大学医学部附属病院光学医療診療部
pp.191-198
発行日 2023年2月25日
Published Date 2023/2/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000365
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はじめに
Crohn病は消化管の全層性・非連続性に炎症を生じる原因不明の肉芽腫性炎症性疾患である。主に若年者に発症し,小腸・大腸を中心とする全消化管に浮腫や潰瘍を認め,腸管狭窄や瘻孔などの消化管合併症を生じる。Crohn病の原因は不明であるが,遺伝的素因に環境要因の影響を受けて免疫異常をきたし疾患を発症すると考えられている(図1)。実際,いわゆるゲノムワイド相関解析(GWAS)により疾患感受性遺伝子の存在が報告されており,それらを大きく自然免疫系の異常,獲得免疫系の異常,腸管上皮・粘液の異常に分けることができる。このように,遺伝的素因に起因した免疫異常や防御機構の破綻がCrohn病の発症の一因であると考えられる。一方で,わが国ではCrohn病患者数はここ30年ほどで急激に増加している。このような急激な増加は上述の遺伝的な素因では説明が不可能であり,環境要因が大きく発症に関与していると考えられる。
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