連載 医事法の扉 内科編・21
療養指導義務
福永 篤志
1
,
松川 英彦
2
,
稲葉 一人
3
1国家公務員共済組合連合会 立川病院脳神経外科
2国家公務員共済組合連合会 立川病院内科
3中京大学法科大学院
pp.1652-1653
発行日 2012年9月10日
Published Date 2012/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106167
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療養指導義務(医師法23条)とは,医師が診療をしたときに,患者あるいは患者の家族に対し,日常生活上の注意事項を指導しなければならないことをいいます.患者の病状を改善させるためには,病院内でのわれわれの治療行為だけでなく,患者自身の日常での療養が不可欠ですから,単に患者任せにするのではなく,われわれに医学専門的なアドバイスをするよう法的に義務付けたのです.ただ,その義務に違反しても罰則はないので(医師法33条の2第1号参照),訓示的規定であるとされています1).保険医に対しても同様の規定があります(保険医療機関及び保険医療養担当規則13条).
患者あるいはその家族に対して説明するという点では,本連載第6回から第10回でとりあげた説明義務(民法645条,医療法1条の4第2項参照)と類似しています.説明義務は,医師患者間の紛争で最も争点となりやすい義務の1つであり,療養指導義務も,しばしば争点となります.今回は,この療養指導義務をとりあげ,その具体的内容と,われわれがどのような点に注意したらよいのか,最近の判例はどのようなものかなどにつき検討していきます.
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