連載 研修おたく 指導医になる・3
変わり身の早さ―アメリカvs日本
白井 敬祐
pp.733
発行日 2012年4月10日
Published Date 2012/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402105915
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「アメリカでは」「日本では」という一般化,単純化した議論は誤解を生む可能性があり,また反例も簡単に挙げることができるので,説得力をもちにくいものです.僕も他の人が書いた文章を読んで「そうはいっても」とか,「そこまで単純じゃないよ」と思うことがしばしばあります.それをわかったうえで,今回は「変わり身の早さ」についてアメリカで気づいたことを書きたいと思います.
「変わり身が早い」とは,どちらかと言えば,ころころ変わる,一貫性がない,信用できないといった悪いニュアンスを伴いがちです.よく言えば,flexible(柔軟性がある),臨機応変といったところでしょうか.僕の病院では研修医の意見を参考に,症例を中心にした講義から,昔からある網羅的な講義に変わりました.個々の症例より,まず全体の流れをつかみたいという意見が多かったからです.それぞれのメリットとデメリットを吟味したうえでの変更でしたが,たった数回で症例中心の講義に戻されました.症例中心の講義のほうが記憶に残りやすく,普通の講義なら教科書を読めばいいというのです.カリキュラムを変えたら少なくとも1年はそれで通すかと思いきや,うまくいかなければ未練もなくスパッと方針転換です.肩すかしを食らった感覚でしたが,いくら準備をしたことでも執着せずだめであれば変更する思い切りの良さに感心しました.
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