しりあす・とーく 第19回
アメリカの医師研修から何を学ぶか?(中編)
白井 敬祐
1
,
金城 紀与史
2
,
大曲 貴夫
3
1サウスカロライナ医科大学・血液/腫瘍内科
2手稲渓仁会病院・臨床研修部
3静岡がんセンター・感染症科
pp.2110-2116
発行日 2006年12月10日
Published Date 2006/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101457
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日本の医師研修はこの数年急速に変わりつつあるが,アメリカ型臨床研修に学ぶべきものは,まだまだ多い.今回の「しりあす・とーく」では,前号に引き続き,アメリカでの研修経験をもつ3人の医師に,アメリカの医師研修から学ぶべきものを,日本の医療の現状を踏まえながら語っていただいた.
(前号よりつづく)
症例への曝露のされ方
白井 日米の医師臨床研修を比較すると,追体験する症例の数は,圧倒的にアメリカのほうが多いです.必ずしも自分が診るわけではないけれども,当直の間にカバーしたり,モーニングレポートで他の人のプレゼンを聞いたりすることで,まるで自分の患者のように頭を使って考えなければなりません.そのようなトレーニングを受ける数は,アメリカのほうが多いと思います.
毎日の申し送りというのを,私は日本では経験しませんでした.私が自分で研修していたときは,極端な話,自分の患者に何か起こったら,起こってからどうするか考えようという感じでした.十数人の担当患者のリストがあっても呼び出されてから対応するという生活をしていたけれども,アメリカの場合には,その十何人について,申し送りのため毎日それなりのまとめをしてから帰らないといけません.それが貴重なシミュレーションになります.逆に自分が当直のときは,4~5人のインターンから申し送りをドーッと受けるので,「こういう患者を診るんだ」「こういう経過もあるんだ」ということを,大まかだけれども知ることができます.
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