時評
アメリカに追随する日本
塙 正男
Masao HANAWA
pp.956
発行日 1985年11月1日
Published Date 1985/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208716
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「経済白書」の第3部を読んだが何も目新しいことは書いていない.確かに,見田宗介の言うように(朝日新聞,9月26日夕刊),「長期経済問題を扱った第3章は年金と医療費補助を大幅に削減すべしというものである」,「まあそれだけである.行革路線を国民に納得させるためのもの」である.そこで,果たしてこれが行革だろうか,というギモンがわくのだ.
行革路線をマクロに見ると,「電電公社」や「国鉄」は赤字をたれ流していたのであろうか.確かに電電公社にはさまざまな欠陥もあったと思うが,まあ役所としてはマトモなほうだったのではないか.次のやりだまは国鉄であった.国鉄の労働問題は確かにヒドイものであった.しかし,これは言ってみれば政治の問題であって,政府の行革路線をカツイデいる大企業が,戦後,国鉄にオンブして成長してきた過程を忘れているのはおかしいことだ.貨物運賃を抑えた圧力はどこからであったか,を思い出して欲しいというくらいのことを言ってもバチが当たるまい.
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