連載 医事法の扉 内科編・13
医療訴訟のしくみ(3)
福永 篤志
1
,
松川 英彦
2
,
稲葉 一人
3
1国家公務員共済組合連合会 立川病院脳神経外科
2国家公務員共済組合連合会 立川病院内科
3中京大学法科大学院
pp.174-175
発行日 2012年1月10日
Published Date 2012/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402105762
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- 文献概要
原告から訴えが提起されると,その時点で時効の中断という効果が発生します(民法147条1号).本連載第11回で触れたように,過誤を疑われた医療行為の時点から,通常3年あるいは10年経過すると時効を迎え,「権利の上に眠る者は保護されず」に基づき,患者らは訴訟を提起しても請求は認められません.しかし,時効の成立前に訴えを提起すれば,時効の進行が中断し,その後の時効は,裁判が確定した時から再び最初から進行することとなります(157条2項).要するに,時効は振り出しに戻り,その期間は一律10年となります(174条の2第1項).
一方,訴状のコピーが被告ら(病院管理者や主治医)のもとに送達されると,その時点からその事件はその裁判所により審判されているという状態(訴訟係属といいます)になります.この訴訟係属は,同じ事件が繰り返し争われないようにするために法律上非常に重要な意味があるのですが,ここでは詳細は割愛します.
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