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編集室より
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pp.712
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402105148
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●3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震におきましては,被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます.本号は救急領域の特集ということもあり,ご執筆いただいた先生にも現地での被災支援に駆けつけられた方が多くいらっしゃったようです.また,座談会にご出席いただいた松本純一先生は,被災地への救急遠隔画像診断システムのプロジェクトをすすめておられると伺いました.被災地域の一刻も早い復興をお祈り申しあげます.●このたびの震災では,地震と津波の脅威に加え,福島第一原子力発電所における事故が大きなニュースとなっています.これにより,いままで一般市民にはあまり耳慣れなかったμSv,mSvという言葉が毎日耳にされるようになりました.あふれる情報のなかで冷静な行動をとることが難しくなっているようです.『ものをこわがらなさ過ぎたり,こわがり過ぎたりするのはやさしいが,正当にこわがることはなかなかむつかしい(寺田寅彦)』.「正しくこわがる」ためには,「正しく知る」ことが必要です.これまでも放射線はX線やCTという形で身近にあったにもかかわらず,それらが専門家によって安全に管理されていたがゆえに,その威力を忘れかけていたのかもしれません.●医療現場ではいかに不必要な被曝を防ぐかということが常に考えられてきました.しかし,画像診断へのアクセス向上と画像診断への過信ゆえに,患者の希望から不必要な検査を行わざるを得ない場合もあると聞きます.一人ひとりが適切に行動するためには,知る努力,考える努力を怠ってはいけないのだと感じました.
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