特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
遺伝子検査と染色体検査
癌の遺伝子検査
宮地 勇人
1
1東海大学医学部基盤診療学系臨床検査医学
pp.599-601
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104858
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
癌細胞の分子病態の解明に基づく遺伝子検査(診断)は,癌の存在,進行度,生物学的悪性度,さらには治療反応性など診断マーカーとして広く利用されている.悪性腫瘍は変異した細胞が自律性増殖する悪性過程であり,癌遺伝子や癌抑制遺伝子などの変異(突然変異,増幅,欠失),転写因子発現異常,発癌関連ウイルスなど多段階の過程で遺伝子異常の集積が発癌や腫瘍の進展に関与する.これら腫瘍細胞における遺伝子異常は,腫瘍の存在診断のための検出標的,さらには分子標的療法における治療標的,治療反応性の指標となる.白血病では染色体相互転座における融合遺伝子発現(転座マーカー)が確定診断や治療反応性の指標となる.悪性リンパ腫では,癌関連遺伝子の融合または再構成,転写因子,免疫受容体遺伝子の再構成などが遺伝子検査の検出対象となる.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.