特集 造血器腫瘍
Ⅲ 検査法の基礎知識
7.遺伝子検査法
宮地 勇人
1
Hayato MIYACHI
1
1東海大学医学部臨床検査医学
pp.1297-1305
発行日 2002年10月30日
Published Date 2002/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905230
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はじめに
近年,造血器腫瘍の遺伝子検査は,分子レベルの病態解明と検出技術の開発さらに平成10年度から造血器腫瘍核酸増幅検査が保険収載されたことにより日常検査として定着しつつある.特に病型に特異的な転座型染色体異常をもつ白血病,悪性リンパ腫において,確定診断,治療後モニタリングなど患者診療に不可欠となった1,2).遺伝子解析技術には大きく分けて核酸プローブ法と核酸増幅法がある.核酸プローブ法は特定の核酸断片をプローブとして,相同性をもつ塩基配列と結合する性質を利用したハイブリダイゼーションにより目的の核酸配列を検出する.核酸増幅法は特定の核酸断片(または結合プローブやシグナル)を特異的に高度に増幅する.造血器腫瘍の診断に用いられる遺伝子解析技術として,核酸プローブ法にはサザンブロット法,ノザンブロット法,蛍光in situハイブリダイゼーション法(fluorescencein situ hybridization;FISH)などがあり,核酸増幅検査では主にポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction;PCR)法,RT―PCR法が用いられている.PCR法は,少量の検体から高感度に迅速に,目的とするDNAまたはRNAを検出でき,測定の自動化や保存検体からの検出が可能など多くの利点があり,広く利用されている.
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