特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
腫瘍マーカー
消化器系
KMO1
神垣 隆
1
,
後藤 重則
1
,
具 英成
2
1瀬田クリニック
2神戸大学大学院医科系研究科外科学講座肝胆膵外科分野
pp.527-529
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104832
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
KMO1はヒト株化大腸癌細胞COLO201を免疫原としてハイブリドーマ法で作製されたモノクローナル抗体により認識されるI型癌関連糖鎖抗原である1, 2).薄層クロマトグラフィの解析ではKMO1抗原である糖脂質はシアル化Lewisa(Lea)と同じ移動相を示す主バンドと,それより分子量の大きな2つのバンドとして検出され,この主バンドはCA19-9(carbohydrate antigen 19-9)抗原と同じsialated lacto-N-fuco pentaose IIである.したがって,KMO1はシアル化Leaにさらに糖が付加した長鎖シアル化Leaと考えられる.このように,KMO1は癌細胞表面では糖脂質上に存在しているが,一方,血中では高分子の糖蛋白質(おそらくムチン)上に糖鎖抗原として存在すると考えられている3).KMO1抗原決定基はCA19-9に近似しており,膵癌あるいは胆道癌などにおいて高い陽性率を示す.一方,CA19-9と異なり肝癌においても高い陽性率を示し,α-フェトプロテイン(α-fetoprotein:AFP)と明らかな交差性を認めず,AFP陰性例において陽性を示すことがある4).
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