特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
腫瘍マーカー
消化器系
KMO1
神垣 隆
1
,
高瀬 至郎
1
,
黒田 嘉和
1
1神戸大学大学院医学系研究科消化器外科学
pp.510-511
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101884
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
KMO1はヒト株化大腸癌細胞COLO201を免疫原としてハイブリドーマ法で作製されたモノクローナル抗体により認識されるⅠ型癌関連糖鎖抗原である1,2).薄層クロマトグラフィの解析ではKMO1抗原である糖脂質はシアル化Lewisa(Lea)と同じ移動層を示す主バンドと,それより分子量の大きな2つのバンドとして検出され,この主バンドはCA19-9抗原と同じsialated lacto-N-fuco pentaoseⅡである.したがって,KMO1はシアル化Leaにさらに糖が付加した長鎖シアル化Leaと考えられる.このように,KMO1は癌細胞表面では糖脂質上に存在しているが,一方,血中では高分子の糖蛋白質(おそらくムチン)上に糖鎖抗原として存在すると考えられている3).KMO1抗原決定基はCA19-9に近似しており,膵癌あるいは胆囊・胆管癌などの胆道癌において高い陽性率を示す.一方,CA19-9と異なり,肝癌においても高い陽性率を示し,α-フェトプロテイン(α-fetoprotein:AFP)と明らかな交叉性を認めず,AFP陰性例において陽性を示すことがある4).
臨床上の重要性と選択
膵・胆道癌患者において,高率に陽性例が認められることより,膵・胆道癌の腫瘍マーカーとして有用である.KMO1は消化器系の悪性腫瘍を中心に高い陽性率を示す腫瘍マーカーである.なかでも膵癌,胆囊・胆管癌,肝癌において高率に陽性となり,対応する良性疾患(慢性膵炎,胆石症,胆囊ポリープ,急性肝炎および肝硬変など)との間に有意な差が認められる1~5).
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