特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
腫瘍マーカー
消化器系
CA50
岡田 祐二
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科消化器外科学
pp.524-526
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104831
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
1983年,Lindholmらにより発見されたCA50(carbohydrate antigen 50)は,ヒト大腸癌由来培養細胞株Colo-205をマウスに免疫して得られたモノクローナル抗体C50(IgMクラス)によって認識される糖鎖抗原である.CA50はCA19-9と構造が近似しているため,CA19-9と同様に固形癌特に膵癌に対するマーカーとして注目されている.また,血液型の遺伝形質であるLeaの陰性者(全人口の4~10%)はCA19-9を産生できないのに対し,CA50はLeaの有無に関係なく合成される点がCA19-9よりも有用と考えられたが,いまだ十分な証明はなされていない.
異常値の出るメカニズムは,癌化に伴う形質変化は糖鎖部分に起こる場合が多く,上皮細胞の産生するムチン上の糖鎖が癌性変化を起こし,それが血中に流出し,異常値として臨床的に検出されることとなる.このため,CA50は臨床的には膵臓および胆道系悪性腫瘍に対する腫瘍マーカーとして利用され,主としてこれら領域の癌の診断・経過観察に用いられる.
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