特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
腫瘍マーカー
消化器系
SPan-1
神垣 隆
1
,
後藤 重則
1
,
具 英成
2
1瀬田クリニック
2神戸大学大学院医学系研究科外科学講座肝胆膵外科分野
pp.530-531
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104833
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
SPan-1は1985年にKyriazisらによりヒト膵癌培養細胞株SW1990を用いて作製されたマウスモノクローナル抗体が認識する癌関連抗原である1,2).この抗体はマウスIgM抗体に属し,認識する抗原は膵癌細胞の膜構成成分であるとともに,強い分泌性を有する.SPan-1のエピトープはシアル酸をその非還元末端に有する糖鎖で,巨大なムチン様蛋白分子上に存在し,シアル化Lewisa(Lea)とシアル化Lecの2つの糖鎖構造を認識すると考えられている.SPan-1抗原は正常膵管上皮と腺房細胞の一部に認められ,胆管上皮,腎尿細管上皮,気管上皮に軽度に認められるが,Langerhans島細胞には認められず,十二指腸,食道,副腎,心,肺,肝などにも認められない1).
癌関連抗原として,膵癌において最も高い陽性率を認める.胆道癌についても高い陽性率を認め,胃癌,大腸癌,肝癌といった消化器癌のほか,肺癌,乳癌,悪性リンパ腫でも陽性例が認められる.また,良性の膵疾患,肝疾患でも異常値を示す場合があり,注意を要する.
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