特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
腫瘍マーカー
消化器系
エラスターゼ1
岡田 祐二
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科消化器外科学
pp.521-523
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104830
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異常値の出るメカニズムと臨床意義
エラスターゼ1は膵液中に存在する膵外分泌消化酵素の1つであり,結合組織の弾性線維エラスチンを加水分解するセリンプロテアーゼである.ヒト膵液中にはエラスターゼ1(anionic elastase)とエラスターゼ2(cationic elastase)の2種類が存在する.膵の腺房細胞にプロエラスターゼとして局在し,腸に分泌されてトリプシンにより活性化される.膵臓のほか脾臓,大動脈壁,白血球,血小板にも存在が確認され,急性炎症などの情報となる顆粒球エラスターゼとは免疫学的に区別される.
異常値の出るメカニズムとしては,膵臓に発生する炎症による膵組織の傷害や,膵管閉塞による膵液のうっ滞などにより腺房細胞から血中に逸脱することにより高値を呈すると考えられる.血中の膵アミラーゼやトリプシンなどと同様に,膵から血中へのエラスターゼの逸脱量の増減で膵障害の存在を推測する.エラスターゼ1は膵特異性が高く,ほかの膵酵素に比べて血中半減期が長いという特徴がある.
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