特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
腫瘍マーカー
消化器系
エラスターゼ1
岡田 祐二
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科臨床病態外科学
pp.504-506
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101882
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
エラスターゼ1は膵液中に存在する消化酵素の1つであり,弾性線維エラスチンを加水分解する蛋白分解酵素である.ヒト膵液中にはエラスターゼ1(anionic elastase)とエラスターゼ2(cationic elastase)の2種類が存在する.膵の腺房細胞にプロエラスターゼとして局在し,腸に分泌されてトリプシンより活性化される.膵臓のほか脾臓,大動脈壁,白血球,血小板にも存在が確認されている.エラスターゼ1の分子量は29,000~33,000で,至適pHはpH8.8である.
異常値の出るメカニズムとしては,膵臓に発生する何らかの炎症により,腺房細胞よりエラスターゼが血中に逸脱することにより高値を呈すると考えられる.血中の膵アミラーゼやトリプシンなどと同様に,膵から血中へのエラスターゼの逸脱量の増減で膵障害の存在を推測する.エラスターゼ1は膵特異性が高く,他の膵酵素に比べて異常高値が長く持続する特徴がある.その臨床的意義として,①膵疾患に対する特異性が高い,②膵疾患のスクリーニングに有用,③経過観察に有力な指標となる,などの点が挙げられる.
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