増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
抗ミトコンドリア抗体
菅井 進
1
1金沢医科大学血液免疫内科
pp.598-599
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906490
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
原発性胆汁性肝硬変(PBC)は中年女性に好発する慢性進行性の胆汁うっ滞性肝疾患である.病理学的には慢性非化膿性破壊性胆管炎が特徴であり,小葉間胆管が胆管炎により破壊され,消滅する.その結果として黄疸を生じ,黄疸は徐々に進行し,胆汁うっ滞による肝細胞の破壊,線維化も加わって,最終的には肝硬変から肝不全に陥る.余命は黄疸発現より5〜7年とされる.臨床的に黄疸がなく自覚症状を欠いたまま長年経過することも多く,無症候性PBCと呼ばれ,この場合は必ずしも予後は悪くない.
抗ミトコンドリア抗体(AMA)はPBCの90%以上の高頻度で出現する自己抗体である.その対応抗原はM1からM9までの亜型に分類され,M2がPBCの特異抗体であることが明らかにされた.M2抗原の主要なものは,ミトコンドリア内膜に分布するピルビン酸脱水素酵素複合体(pyruvate dehydrogenase complex:PDC)の74kDのE2成分(PDC-E2),dehydrolipoamideacetyltransferaseであることが証明された.AMAはリポ酸コファクターが結合する部位に反応し酵素活性を阻害する.
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