特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
抗ミトコンドリア抗体
平形 道人
1
1慶應義塾大学医学部内科
pp.445-447
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101863
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
抗ミトコンドリア抗体(anti-mitochondrial antibody:AMA)は原発性胆汁性肝硬変症(primary biliary cirrhosis:PBC)に高頻度(約90%)かつ特異的に検出され,PBCの診断のうえで最も大切な検査である.PBCは中年以降の女性に好発し,組織学的に肝小葉内の細胆管の慢性非化膿性破壊性胆管炎を特徴とする慢性胆汁うっ滞性疾患である.
AMAの対応抗原にはM1~9までの亜分画(Berg)がある.この中で,ミトコンドリア内膜蛋白に対する自己抗体である抗M2抗体がPBCに特異的であるが,他の亜分画に対する抗体は他疾患でも検出される.抗M2抗体の主要対応抗原はピルビン酸脱水素酵素複合体の74kDaのE2成分(pyruvate dehydrogenase complex-E2:PDC-E2)で,その他の対応抗原ではbranched chain 2-oxo acid dehydrogenase complex-E2(BCOADC-E2),2-oxo glutarate dehydrogenase complex-E2 (OGDC-E2),protein Xが同定されている.大腸菌のPDC-E2と分子相同性を示す自己抗原を認識するT細胞のトレランスが破綻し,自己免疫応答が活性化し,抗M2抗体が産生され,PBCが発症する機序などが想定されているが,まだ不明な点も多い.
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