増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
抗ミトコンドリア抗体
前田 隆
1
,
山本 泰猛
1
1高知医科大学第1内科
pp.628-629
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909966
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検査の目的・意義
抗ミトコンドリア抗体(anti-mitochondrial antibody:AMA)は,原発性胆汁性肝硬変(primary biliary cirrhosis:PBC)の診断に用いられる疾患特異性の高い自己抗体である.1965年,Walkerらが発見して以来,長らく不明であったAMAの対応抗原は,近年ミトコンドリア内膜に存在する酵素群,2-oxoacid dehydrogenase complex(2-OADC)であることが明らかにされた1)(図1).2-OADCのうち,最も高頻度に検出されるのはpyruvate dehydrogenase(PDH)complexに対する抗体であり,便宜的にAMAは抗PDH抗体とほぼ同義としても臨床的にはあまり問題はない.
厚生省難治性の肝炎調査研究班の診断基準では,肝生検による組織学的な裏付けがなくとも,臨床的にPBCが考えられ,AMAまたは抗PDH抗体が陽性であればPBCと診断してもよいとしている.
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