特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液生化学検査
酵素および関連物質
ICG試験
野村 文夫
1
1千葉大学大学院医学研究院分子病態解析学
pp.195-196
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104739
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
合成色素であるインドシアニングリーン(indocyanine green:ICG)が静脈内に投与された後に,肝細胞に取り込まれ,胆汁排泄を介して除去される速度を数値化する負荷試験である.色素投与15分後の血中濃度をみる15分停滞率(R15),経時的採血により得られる血漿消失率ICG(KICG)に加え,負荷量を変化させて得られる最大除去率(RMAX)が指標として用いられる.実施が簡便なR15単独で評価されることが多い.ICGには肝臓を介する以外の排泄経路がなく,腸肝循環も知られていないので,本試験は肝臓の異物排泄能を評価するのに適している.
慢性肝障害の進展に伴い,ICGの除去能が低下するが,その機序としては,肝血流量の低下および肝細胞の色素摂取能の低下が挙げられる.肝硬変におけるICG除去能の低下では肝類洞のcapillarizationと肝内シャント形成による色素摂取能の低下が重要である.臨床的には慢性肝疾患の進展度診断や肝腫瘍の手術適応や切除範囲の決定に際して用いられる.
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