負荷機能検査・2
ICG試験
浪久 利彦
1
,
小林 教雄
1
1順天堂大学・内科
pp.197-202
発行日 1980年2月15日
Published Date 1980/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915383
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肝は生体内最大の生化学工場であり,その機能は多岐にわたっている.その機能を推定する肝機能検査は,現在までに開発されたものだけでも200種類以上あると言われているが,Indocyanine Green (ICG)試験はBrom-sulphalein (BSP)試験とともに,肝の異物排泄機能を検査する方法である.肝の異物排泄機能と言っても単に異物を血中より胆汁中に移送するのみでなく,その過程には物質の貯蔵,蛋白との結合や解離,抱合や脱抱合など多くの機能が関与しているので,肝の異物排泄機能を知ることにより,その広範な機能をも推察しうるものと言える.肝の異物排泄機能検査法として,昔はサントニン試験,ローズベンガル試験,ビリルビン負荷試験など行われていたが,現在ではほとんど行われなくなった.BSP試験も重篤な副作用が報告されてから,使用頻度は少なくなっている.
ICGは肝以外の臓器に摂取されることが少なく,また抱合型を作ることがないなどの特徴があり,BSPと比べてかなり純粋な形で異物排泄機能を表している.しかしICG試験はBSP試験に完全に代わるものでなく,その大部分の結果は一致するが,ある部分では一致せず,それぞれに診断特異性が認められる.ICG試験は肝硬変,体質性黄疸,体質性ICG排泄異常症の診断には不可欠な検査法である.
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