特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液生化学検査
蛋白
ハプトグロビン
日野田 裕治
1
1山口大学大学院医学系研究科臨床検査・腫瘍学分野
pp.131-132
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104713
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
ハプトグロビン(haptoglobin:Hp)は,電気泳動上α2領域に検出される糖蛋白で,主に肝で産生され,血中半減期は2~4日である.肝以外では肺,腎,脾,胸腺,心,好中球などでの発現が知られている.炎症刺激〔インターロイキン(IL)-1β, IL-6,腫瘍壊死因子-α〕で産生が高まる急性相反応蛋白の1つでもある.
Hpをコードする遺伝子は16q22.3に存在し,2つのアレル(遺伝子座)Hp1とHp2が知られている(と表記される).Hp遺伝子はa鎖(軽鎖)とβ鎖(重鎖)をコードしており,Hp2ではα鎖の遺伝子内重複が生じている.このためHp1とHp2ではβ鎖は共通だが,Hp2のα鎖はHp1より長くなっている.以上より,遺伝子型としてはHp1/Hp1,Hp1/Hp2,Hp2/Hp2の3種類が存在する.これらに対応した3種類の蛋白Hp1-1,Hp1-2,Hp2-2が産生され,血中に検出される.それぞれαβの二量体(αβ)2を形成し,β鎖39kD,Hp1α鎖10kD,Hp2α鎖18kDであるため,分子量は計算上98~114kDとなるが,Hp2α鎖が鎖内ジスルフィド結合を2つ保有するため,Hp1-2,Hp2-2では三量体や四量体も生ずる.
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