増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
蛋白
ハプトグロビン
小林 正之
1
1東京慈恵会医科大学附属柏病院総合内科
pp.206-207
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906310
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生理的意義と異常値の出るメカニズム
ハプトグロビン(haptoglobin:Hp)は糖蛋白で,2個の軽(α)鎖と,ヘモグロビン(Hb)の結合部位である2個の重(β)鎖で構成されている.α鎖には遺伝的多型性があり,ポリアクリル電気泳動によりHp 1-1(日本人での出現頻度は6.5%),Hp 2-1(35.2%),Hp 2-2(57.6%)の3亜型に分類される.
Hpはキモトリプシンファミリーに属する急性相反応蛋白であるが,蛋白分解酵素活性はない.産生部位は肝実質細胞であるが,リンパ球培養上清にも認められる.IL-1,IL-6,ステロイドホルモン刺激で産生は亢進し,CRPよりも約1日遅れて異常高値を示すが,急性相蛋白としての生理的意義は明らかではない.しかしα鎖がPHAなどによるリンパ球の幼若化反応を抑制することから,免疫抑制作用を有するものと推察されている.
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