特集 CT・MRIアトラス Update―正常解剖と読影のポイント
腹部
各論
小腸・大腸・直腸
市川 太郎
1
1日本医科大学武蔵小杉病院放射線科
pp.294-303
発行日 2009年11月30日
Published Date 2009/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104194
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正常解剖
一般に消化管疾患の診断は,消化管造影や内視鏡によりなされる.それは,現代の消化管診断の主たる目的が早期の癌を見つけることにあるからである.しかしながら,消化管疾患の裾野は広く,CTあるいはMRIでの診断が優先される病変も数多い.さらに最近の断層画像の進歩は著しく,以前にはこれらの検査の適応と思われなかった病変に対しても施行され,一定の評価が得られているものもある.
小腸,大腸,直腸は,現在では特別の前処置や工夫を行わなくても断層画像での描出ができる.しかし,それは詳細に粘膜面が診断できるといった段階ではない.また,詳細に粘膜を診断するまでではないものの,消化管腫瘍の描出などを主たる検査目的とする場合は,あらかじめ下剤を投与する,消化管内にガスを注入しておく,造影剤を飲用させておくなどの前処置が行われることもある.しかしながら,他疾患の検索,腹部の不定愁訴,急性腹症などで検査を行う場合,前処置なしに施行されることが一般的であり,これらの検査で消化管疾患が見つかることも数多い.したがって,こういった通常の検査画像からでも消化管にも注意して読影する習慣が必要である.
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