連載 見て・聴いて・考える 道具いらずの神経診療・11
―主訴別の患者の診かた6―物忘れを訴える患者の診かた(前編)
岩崎 靖
1
1小山田記念温泉病院 神経内科
pp.2106-2111
発行日 2008年11月10日
Published Date 2008/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103619
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「物忘れ」を主訴に神経内科を受診する患者は急速に増加している.認知症患者数は65歳以降では人口の5~10%,85歳以降では20~30%,国内全体で約180万人の患者がいると考えられているが,高齢社会の到来により今後も増加すると推定されている.マスコミでの認知症特集記事や,「認知症は早期に治療すれば進行を抑制することができる」という宣伝,啓発が増え,認知症に関する社会的関心も増加している.医療側でも「物忘れ外来」の開設,診断技術の向上などにより認知症の診断・評価が正しくされるようになったことも認知症患者の増加に拍車をかけている.「認知症でないか心配」と訴えて受診する正常者,認知症と誤られて紹介受診する老人性うつ病患者なども増加している一方で,認知症の評価が正しく行われていない場合がまだ多いことも事実である.
今回から「物忘れ」を主訴に受診する患者,認知症が疑われる患者の鑑別のコツについて,2回に分けて概説したい.代表的な各種疾患の鑑別法は次回に譲り,今回は初診時に注意すべき観察ポイント,検査法,認知症でみられる各種症候について概説したい.
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