今月の主題 内科医のためのがん診療Update
高齢者のがんの特徴と対処法
高齢者の治療の実際と成績
岡本 渉
1
,
中川 和彦
1
,
高松 泰
2
1近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門
2福岡大学病院腫瘍血液感染症内科
pp.1502-1507
発行日 2008年8月10日
Published Date 2008/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103488
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固形がん
本邦の悪性新生物による総死亡者数は30万人を超え,45~84歳の男女において最大の死因である.全がん死亡症例のうち,75歳以上の後期高齢者が50.9%を占めており,高齢者のがんはますます問題化しつつある.
有意義な生存期間の延長やQOLの向上をもたらさないがん治療は回避すべきであるが,高齢というだけで有効な治療の機会を逃すことがあってはならない.がん治療の臨床試験参加者に占める高齢患者の比率は低く,不明な点も多いが,適切な患者選択と支持療法が行われた場合には,若年患者と同様の治療が可能であると考えられている.高齢患者に有効で安全ながん治療を行うためには,がんの進行度や予備機能,併存症から予測しうる平均余命など,個々に対するリスク評価が重要である.
造血器腫瘍
高齢者造血器腫瘍に対する抗がん薬治療の現状
急性白血病の患者は,骨髄中で白血病細胞が急速に増殖するのに伴って正常造血細胞の産生が抑制され,汎血球減少をきたす.そのため無治療で経過観察すると感染症,出血が主因で早い場合は数日,遅くとも数カ月で死亡する.
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