特集 一般医のためのエコー活用法
Ⅳ.腹部
状況からみた腹部エコー
腹部外傷
井戸口 孝二
1
1大阪府立泉州救命救急センター
pp.367-373
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103095
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超音波検査は,その非侵襲性や簡便性により,多岐の分野にわたって幅広く普及している検査である.救急領域においても診断や治療目的に頻用されているが,近年,特に外傷初期診療における超音波検査の有用性が重要視されている1).
腹部外傷における超音波検査の有用性を1971年にKristensenらが報告して以来,ヨーロッパと日本を中心に,外傷診療においても積極的に超音波検査が導入されるようになった.そして,1991年にKimuraら2)が,さらにはRozyckiら3)が腹腔内出血と心囊液の検索を目的とした外傷患者に対する超音波検査の有用性を報告した.これらは後にFASTと命名され,今日では外傷初期診療における必須の検査の1つになっている4).その検査法については,臓器の形態異常を詳細に観察する一般的な超音波検査とは一線を画しており,その特異性を十分に理解しておく必要がある.
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