特集 一般医のためのエコー活用法
Ⅳ.腹部
状況からみた腹部エコー
小児
内田 正志
1
1社会保険徳山中央病院小児科
pp.374-380
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103096
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小児の日常診療で超音波検査(以下,腹部エコー)を腹部の聴診器のように活用するようになって10年以上が経つ.小児の場合は,消化器をはじめ,腎・尿路系,卵巣・子宮も含めた腹部全体を観察するのが普通である.腹部エコーの威力を最も実感するのは迅速さと的確さを要求される急性腹症(=急性腹痛)の診断時であると確信するようになった.急性腹症をきたす疾患のなかで,消化管疾患はガスの影響で,腹部エコーの最も苦手な領域であったが,装置の進歩や描出の工夫によって,得意な領域へと変化しつつある.成人に比べて,小児では内視鏡検査や造影検査が簡単にはできないため,非侵襲的な腹部エコーの果たす役割はより大きいと考える.
小児では“狭義の急性腹症”は少なく,多くは“広義の急性腹症”(=急な腹痛,嘔吐,下痢,発熱をきたす疾患)である.診断にあたって重要なことは,腸閉塞や急性虫垂炎などの外科的対応の必要な例(狭義の急性腹症)を見逃さないことである.以下,小児の腹部エコーの役割について,腹痛や嘔吐をきたす疾患を中心に述べる.
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