造影超音波検査で特徴的な所見が得られた肝細胞腺腫の1例

Case of hepatocellular adenoma that contrast enhanced ultrasound is useful for a diagnosis:a case report

要旨

　患者は37歳，女性．検診の腹部USにて肝腫瘤を指摘され，当院に紹介され受診となった．造影CTにて肝S7に動脈相で濃染する境界明瞭な肝腫瘤を認め，MRIではT1強調像にて低信号，T2強調像で高信号を示した．超常磁性酸化鉄粒子による造影MRIでは，周囲肝より軽度高信号の不均一な結節を認め，ガドキセト酸ナトリウムによる造影MRI肝細胞相では結節は周囲肝に比し軽度高信号を示した．肝細胞癌，肝細胞腺腫，限局性結節性過形成，および多血性の転移性肝腫瘍などの鑑別のためソナゾイド^(R)を用いた造影US検査を施行し，血管相早期で腫瘤辺縁から中心に向かう細かな血管を認め，血管相後期で均一な濃染を認め，後血管相では肝実質と等エコーであった．肝生検による病理組織学的所見から肝細胞腺腫と診断され外来経過観察中である．