特集 一般医のためのエコー活用法
Ⅲ.心臓
病態の評価
同期異常
古堅 あずさ
1
1東京女子医科大学循環器内科
pp.152-156
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103061
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重症慢性心不全患者の約20~40%では,心電図にてQRS幅≧130ms,すなわち心室内伝導障害を認められることが知られている.これは独立した予後規定因子であり,QRS幅拡大の程度と予後は相関する.心室内伝導障害を有する症例に対し,血行動態の改善を得る治療として心臓再同期療法(cardiac resynchronization therapy:CRT)が注目されるようになり,多くの臨床試験によりCRTによる予後改善効果が報告され,現在では重症心不全に対する治療戦略において重要な選択枝の1つとなった1).しかし一方で,現在のQRS幅による適応基準では約30%の症例に治療効果を認めないことも指摘されている2).QRS幅による電気的同期不全よりも機械的同期不全(mechanical dyssynchrony)の存在が重要であることが知られるようになり,この評価において心エコーは重要な役割を果たしている.心不全患者診察の際には,“同期不全(同期異常)”の存在にも注意しながら病態を評価し,治療方法の選択をすることが重要である.
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