特集 一般医のためのエコー活用法
Ⅲ.心臓
疾患の評価
急性心筋梗塞
習田 龍
1
,
西野 雅巳
1
1大阪労災病院循環器科
pp.158-163
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103062
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急性心筋梗塞は,自覚症状,心電図,採血検査,心エコー,心臓カテーテル検査などで診断が下される.なかでも心エコーの役割は,その簡便さ,迅速さ,低侵襲性,特異性などを考えると,最も有用と思われる.自覚症状は時として曖昧(特に糖尿病患者は無症状のことも多い)で,心電図は簡便であるが非ST上昇型心筋梗塞(non-ST elevated myocardial infarction:NSTEMI)などは診断が困難とされる.採血検査は,心筋逸脱酵素の上昇は発症後数時間経過しないと異常が出ないため,早期診断には役立たない.また,心臓カテーテル検査は治療に直結するものの侵襲的であり,最終手段として施行されるのが通常である.それらに比べて,心エコーはベットサイドで手軽に施行でき,リアルタイムに心筋の壁運動が評価できる.前述のごとく,心電図では診断しにくいNSTEMIも診断可能である.心筋虚血時には,まず左室壁運動異常が起こる.その後心電図変化が発生し,最後に胸痛が出現するとされる1).すなわち,臨床の場において心エコーは最も早期に心筋虚血を診断しうるツールであるといえる.最近では種々のポータブルエコーが発売されている.筆者らは,救急外来,病棟,心臓カテーテル室など場所を選ばず手軽に施行できるポータブルエコーを聴診器替わりに多用し,診療を行っている.また,心エコーは診断のみならず,治療方針決定にも大きな役割を果たす.以下に,初診時の心エコーのチェックポイントを記す.
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