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実験講座
核内受容体転写因子群の単離・同定・機能解析
Isolation, identification and functional analysis of nuclear receptor co-regulators
藤木 亮次
1
,
中村(藤山) 沙理
1
,
横山 敦
1
,
加藤 茂明
1
Ryoji Fujiki
1
,
Sally Nakamura-Fujiyama
1
,
Atsushi Yokoyama
1
,
Shigeaki Kato
1
1東京大学分子細胞生物学研究所核内情報研究分野
pp.242-247
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100176
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ヒトゲノムを解読した現在,必要な遺伝子を時期・組織特異的に発現する機構の解明が,広く生命現象を理解する上で重要な課題の一つとなっている。核内受容体群はリガンド依存的に調節されるDNA結合性転写因子の総称であり,ヒトではゲノム情報から48種類存在すると推定されている。個々の核内受容体はステロイドホルモンやビタミンA,Dなどそれぞれ対応する生理活性分子をリガンドとしており,リガンドの結合によって標的遺伝子群の転写反応をON・OFFに切り換えている(図1)。分子レベルでは,核内受容体はリガンドの結合により転写調節ドメインの構造が変化し,ONにする転写共役活性化因子,またはOFFにする転写共役抑制化因子の物理的相互作用を動的に変換すると説明されている。近年の目覚しい技術革新は,これら核内受容体転写共役因子群を様々な手法によって同定し,その分子実態を具体的に捉えることを可能にした。その結果,実際には非常に多くの制御因子群が固有の活性を介して転写調節に寄与しており,核内受容体リガンドの多彩な生理作用を解明しつつある(表1)。
われわれのグループでは,Yeast two hybrid法を利用して多くの転写共役因子の同定に成功してきたが,また同時に,転写因子を転写系でスクリーニングするといった原理的に避けられない限界も多かった(表2)。そこで本稿では,最近大きな成果を挙げ,特に注目を集めている生化学的精製に基づいた実験手法について紹介する。
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