カラーグラフ 手で診るリウマチ(12)【最終回】
T細胞白血病(T cell leukemia),多中心性網状組織球症(multicentric reticulohistiocytosis)
上野 征夫
1
1寿生病院
pp.2134-2135
発行日 2003年12月10日
Published Date 2003/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102327
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症例は78歳,女性.数年前より,手,膝などに痛み・腫れが出現する.手では図1にみられるように,手関節,MCP(metacarpophalangeal)関節,それといくつかのPIP(proximal interphalangeal)関節に,腫れ,滑膜肥厚がみられる.これは,関節リウマチ(RA)に一致する所見である.しかしよく見ると,右手の手背と指に,散在性に紫斑が認められる.RAでも血管炎性の紫斑が出現することがあるが,発生部位は通常,下腿である.本症例ではその他の重要な身体所見として,両腋窩に大きなリンパ節を触知した.
末梢血では,白血球数が24,200/mm3と増加,そのうち60%以上をリンパ球が占めている.赤沈は7mm/h.CRP,RFはともに陰性.膝関節穿刺液検査では,図2に示すように,花弁状の核をもつ異型リンパ球の滲出が多数認められた.末梢血リンパ球検査の結果,HTLV-1プロウイルスDNAのモノクローナルな組み込みが証明され,成人T細胞白血病の診断が確定された.
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