特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
免疫学的検査
サイトカイン
サイトカインと可溶性サイトカインレセプター
小林 大介
1
,
渡邉 直樹
1
1札幌医科大学医学部臨床検査医学
pp.489-491
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101877
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サイトカインは,リンパ球,単球やマクロファージなどさまざまな細胞から産生される生理活性物質の総称であり,免疫や造血などを介した生体の恒常性維持に重要な役割を担っている.ホルモンと異なり局所で働くことが多いが,持続的かつ大量に産生されると血中濃度も高まる.その特異的レセプターも,mRNAの選択的スプライシングやプロテアーゼの作用で細胞表面から遊離し,可溶性レセプターとして血中,関節液中に出現する.本稿では,現在,保険適用となっている肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor:HGF),可溶性インターロイキン-2受容体(soluble interleukin-2 receptor:sIL-2R)とエリスロポエチン(erythropoietin:EPO)のうち,前2者に焦点を絞り概説する.
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
1. HGF
肝臓をはじめ各種臓器の間葉系細胞や上皮細胞で一本鎖の非活性型蛋白として産生される.細胞外マトリックスと結合して存在するが,セリンプロテアーゼであるHGFアクチベーターの作用を受けると,二本鎖の活性型蛋白になる.臓器傷害時には産生亢進により非活性型が血中に逸脱するのみならず,HGFアクチベーター活性の上昇に伴い活性型の増加もみられる.
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