特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
免疫学的検査
サイトカイン
エリスロポエチン(EPO)
別所 正美
1
1埼玉医科大学血液内科
pp.492-494
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101878
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
エリスロポエチン(erythropoietin:EPO) は胎児期には肝で,妊娠30週頃以降には主として腎で産生される分子量30.4kDa の糖蛋白で,骨髄における赤芽球系造血前駆細胞の分化・増殖を刺激し,アポト-シスを抑制することによって赤血球の産生を調節する造血因子である.したがって,血中 EPO濃度の測定は生体内での赤血球造血や腎機能の状態を把握する指標となりうる.
EPOによる赤血球産生の調節機構は図1のようになる.すなわち,腎機能が正常な場合には,貧血や心・肺疾患などによって組織が低酸素に陥ると,酸素センサ-がこれを感知し,腎からの EPO産生が亢進する.その結果,骨髄における赤血球産生が促進され,赤血球数が増加することによって組織への酸素供給が高まり,低酸素は解消される.一方,腎に障害があるときには,貧血があっても赤血球量を維持するに十分な EPOが産生されない.したがって,血中EPO濃度は腎機能によって大きく影響を受けることになる.
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