特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
抗核抗体
高崎 芳成
1
1順天堂大学医学部膠原病内科
pp.413-415
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101849
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
抗核抗体(anti-nuclear antibody:ANA)産生のメカニズムは不明であるが,全身性エリテマトーデス(SLE)を中心とする自己免疫疾患で高率に検出され,疾患に対する高い特異性を有するものも多いことから,診断の指標として日常診療の場で重要な位置を占めている1).また,同じ疾患の中でも特異な病像と相関を示すものもあり,病態・予後の予測に有用な情報を提供する1).さらに,抗二本鎖DNA(dsDNA)抗体のように,その抗体価がループス腎炎などの活動性と相関するものもあり,治療の指標として有用な場合もある1).しかし,HEp-2細胞を核材とした蛍光抗体間接法(IF)では,正常人でも40倍で31.7%,80倍で13.3%,160倍では5.0%が陽性とされ2),ANA陽性であっても膠原病などの自己免疫疾患を有しているとは限らないので注意を要する2,3).
一方,抗dsDNA抗体をはじめする一連の疾患標識抗体は正常人ではほとんど検出されることはない1,3).したがって,ANA陽性(本稿ではIFにて陽性と定義する)という検査結果の意義を的確に解釈するためには,個々の症例の臨床症状に加え,出現しているANAの種類を同定することが必要となる.
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