特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
抗U1 RNP抗体
高崎 芳成
1
1順天堂大学医学部膠原病内科
pp.416-417
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101850
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
抗U1 RNP(ribonucleoprotein)抗体は,snRNP(small nuclear RNP)の1つであるU1 RNPに対する自己抗体で,混合性結合組織病(MCTD)の診断に必須な抗核抗体(anti-nuclear antibody:ANA)として知られている1).U1 RNPはU1 RNAと9個のポリペプチド(70 kDa,A,B/B’,C,D,E,F,G)より構成され,抗U1 RNP抗体はこのうち70 kDa, AおよびC蛋白を認識する1).抗U1 RNP抗体産生のメカニズムは明らかではないが,マウスレトロウイルスp30gagやインフルエンザBウイルスM1 matrix proteinと70kDa蛋白,さらに単純ヘルペスウイルス-1(herpes simplex virus-1:HSV-1)とC蛋白などとの分子相同性が報告されており,ウイルス感染が抗体産生を誘導する引き金となっている可能性が論じられている2).
臨床上の重要性と選択
蛍光抗体間接法(IF)にてspeckled(斑紋)型の染色(図1)を認めた場合,二重免疫拡散法(DID)や酵素免疫法(EIA)で本抗体の確認が必要となる.臨床的にはRaynaud現象との強い相関を認め,手指・手背の腫脹や全身性エリテマトーデス(SLE),強皮症(SSc)もしくは多発性筋炎(PM)などの臨床像を併せ持つ症例ではMCTDの鑑別上必須な検査となる.
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