特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
免疫学的検査
感染症関連検査
微生物の抗原・抗体検査
クラミジアトラコマティス抗原・抗体
松本 哲朗
1
1産業医科大学泌尿器科
pp.391-393
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101841
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現在,クラミジアトラコマティス(Chlamydia trachomatis)感染症は,最も罹患率の高い性感染症である.その主たる感染部位は,男子では尿道,女子では子宮頸管である.クラミジアは男性では尿道炎,精巣上体炎,前立腺炎などの原因となる.女性では子宮頸管炎,卵管炎,骨盤内腹膜炎,肝周囲炎などを起こし,不妊症の原因となったり,流・早産との関連が指摘されている.感染源として,性風俗女性に代わり,友人や配偶者,ゆきずりの女性からの感染が増加している.一般女性にクラミジア感染が蔓延していることが示唆される.
クラミジア性尿道炎は,淋菌性尿道炎と比較して,潜伏期間が1~3週間と長く,比較的緩徐に発症する.分泌物の性状は漿液性ないしは粘液性で,量も少量~中等量のことが多く,排尿痛も軽い.軽微な尿道そう痒感や不快感程度の症例も少なくない.クラミジア性子宮頸管炎は,症状に乏しく,50%以上は無症状で無症候性感染も多い.症状としては帯下の増加,軽度の下腹痛,不正性器出血が主なものである.性行為の多様化に伴い,oral sex による咽頭炎,anal sex による肛門直腸炎も発症する.また,新生児への垂直感染は20~50%と報告されている.垂直感染の新生児は結膜炎,鼻咽頭炎,肺炎などを発症する.
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